金曜日、仕事から帰ってきた貴方は、エヴァンゲリオン未体験のわたしの為に、わざわざ弟さんからDVD全巻を借りてくれ、それが入った重い紙袋を降ろすと、「今日はまたまた本をいっぱい買っちゃったよ」と言いながらカバンから買ってきた本を次々と出し始めました。
続いて貴方はひょいと縦長の袋を取り出し、「はい。これはモモカに」とわたしにくれました。きょとんとしながらも、袋を開け真っ赤なリボンのかかった黒い箱を取り出すあいだ「好みに合うかどうかわからないけど」「30分も売り場で悩むのは結構照れるもんだよ」というようなことを貴方が話してくれた気がするのですが、わたしの頭の中は嬉しさでいっぱいで、「うんうん」「ありがとう」を繰り返していただけの気がします。
中から出てきたのは、華奢で繊細なウェーブのかかったプラチナのネックチェーンで、薄く透明な水色をした石がトップに光っていました。あけるやいなや、あなたに抱きつき「ありがとうございます」ともう一度言うのが精一杯でした。
同居1ヶ月記念のプレゼント。
可愛いアクアマリンのネックレス。
首につけてもらうときに「ねぇ。こうしてつけてあげるの何度目くらい?」って聞くと「5度目くらいかな」と笑っていました。今までのわたしならきっとそこで、軽いジェラシーにちょっと拗ねたりしていたのかもしれないのだけど、不思議とそんな気持ちも芽生えることなく、嬉しいあたたかな気持ちで満たされていました。
これまで、殿方からのプレゼントはいつもシルバーのものを買って頂いていたわたしにとって、プレゼントとしていただく最初のプラチナです。
シルバーのものばかり身につけていたのは、銀色の光り方が好きだったことと、なんとなくバイクに乗っていた若い頃から、シルバーが未完成な自分には丁度よい気がしていたからだった気がします。銀色をしているならプラチナでもよかったのだけれど、買っていただくにはちょっと高価な気がして、その時々の彼と一緒にプレゼントを買ってもらいに行くときには、ちょっとだけ素敵めのシルバーアクセの売り場に連れて行ってたからなのでした。
プレゼントするのは大好きなのに、それを受けるのがとても苦手なわたしは、クリスマスでも誕生日でもないこのときに、プレゼントを受けるのはとてもとても照れくさくくすぐったく、そしてとても嬉しい出来事でした。
そしてそれを一緒に売り場に行くのではなく、あなたが一生懸命に選んでくれたものであることがとてつもなく嬉しいです。
ふとした瞬間に首元に手を触れ、その存在を確かめます。
ありがとう、貴方。