夏の星座
こと座(Lyra--リラ)
七夕の主人公、織り姫星(ヴェガ)を主星とする星座。小さい星座だけれども星のまとまりがよくてよく目立つため古代から認識されていた。プトレマイオス48星座の一つ。この星座にまつわる神話は有名。
大昔、マーキュリーが海岸を歩いていると亀の甲羅を拾った。彼は甲羅のはしに穴を開けて弦を渡してみると、すばらしい音色の出る楽器ができた。マーキュリーは後日、アポロンにカギデウスの杖と交換で自作の琴を贈る。
アポロンは息子のオルフェイスにこの琴を与え、彼はすばらしい音楽家となった。オルフェイスは美しいエウリディケを妻としたが、妻は蛇に噛まれ亡くなった。彼は泣きながら死の国へ向かい、その国王ハデスの前で妻を返してほしいと懇願し、琴をかなでた。ハデスでさえもその琴の音色にうたれ、もう一度地上へ戻すことに同意した。
この世に戻ってくる長い道のりの間、決して後ろを振り向いてはいけないという約束をさせられたオルフェウスだったが、後ろからついてくる妻の足音に我慢できずに振り向いてしまう。その瞬間、彼の妻は暗闇の中に引き戻され、二度と会うことはできなくなった。

オルフェウスは野山を徘徊し、さまよい、やがて酒神デュオニソスの祭りで深酒した女達に殺されてしまう。そして持っていた琴は川に流されてしまったのだが、ゼウスはその楽器の才能を惜しんで星座にしたという。

こと座の星

α星 ヴェガ(Vega)
言わずと知れた「織り姫星」。北半球で最も明るい星。 アラビア語で「落ちるワシ」を意味する「アル・ナスル・アル・ワーキ」から由来する。
β星 シェリァク(Sheliak)
ペルシャ語のシャリャク(琴)から。
γ星 スラファト(Sulafat)
アラビア語で「亀」。こと座の伝説から来た名前。
η星 アラドファル(Aladfar)
アラビア語で「爪」。アラビアではこと座は「ワシ」だと思われており、そこから来ている。