春の星座
かみのけ座(Coma--コマ)
しし座、おとめ座、うしかい座に囲まれた空域にある淡い星が固まったあたりがかみのけ(髪の毛)座。もあもあとした星の固まりを「髪の毛」の見るのは古代からあったみたいだが、正式に「かみのけ座」と確定させたのは16世紀の天文学者チコ・ブラーエ(月面の大きなクレーターに彼の名前のものがある)
この星座には神話ではなくて史実に基づいた伝説がある。
BC3世紀、エジプトのプトレマイオス王朝のプトレマイオス3世がシリアに遠征にいくとき、王妃ベレニケが夫の無事を祈るために美の女神アフロディーデに「王に勝利を与えてくだされば、私のこの髪を捧げます」と願を掛けた。やがて、エジプト軍が勝利した報告が届くと誓いのとおり、その髪を切り神殿に捧げた。まもなく帰国した王はバッサリと髪を切った王妃を見て驚き、がっかりましたが、翌朝になると神殿にあった髪の毛がなくなっていた。
これはどういうことかと王は天文学者のコノンに聞くと、「ちょうど昨夜、新しい星の群が姿を現したのです。神が王妃の心がけと髪の毛の美しさを愛でて、星座にしたのでしょう」と答えたという。
この話は同時代の学者カリマクスが記録していて、200年後のローマの詩人カトゥルスがラテン語に訳して紹介して有名になった。


α星 ディアデム(Diadem)
ラテン語で王冠やティアラのことを「diadema」というところから、「王妃の髪飾り」という意味だろう。語尾にラテン語特有の「a」がないところから近代になってつけられたと考えられている。