ヘッドフォン・ララバイ〜公園通りの青春ミッドサマー・ウェザーツインハート・アベニュー
ハーフミラー・エイジファースト・スノウ・キッスマイディアスイート東京ラプソディ
あのコとスペクタクルあのコとスリリングあのコとサスペンス北都プリンセス
夢降り、バレンタイン放課後、アイスティ真夏日、ウィンディ
キラー通りで、青春小説大人になりたい
窪田僚という作家・コピーライターを知っていますか?
1980年代に活躍した小説家です。たくさんの青春小説を発表したあと、
急に文壇からいなくなってしまった彼。
今は童話を書いているということなのですが、僕の青春の中で彼の小説は
大切な一部を占めていました。
そこで、大切な彼の記憶を留めるために、このページを作ることにしました。

窪田僚

1952年、札幌生まれ。
北海道大学建築学科卒業。
ビックリハウス第一回エンピツ賞受賞。
それでは、作品リストです。


01.「ヘッドフォン・ララバイ〜公園通りの青春」(集英社コバルト文庫)
1981年1月15日発行
書き出しの「で、桑田佳佑のしゃがれ声が、ウォークマンのヘッドフォンを通して、おれの鼓膜を快く愛撫していた。」という文章にびっくりしたのだった。今ならそうは驚かないテイストだが、20年近く前だと、これは「小説」の表現においてブレイクスルーを達成していたすばらしいオープニングである。
父親が札幌の大学に赴任するために、一人東京に残った主人公・黎(れい)。高校の同級生たちや、なんとなく気になる有沙との近づきそうで近づかない微妙な恋模様。
東京、一人暮らし、バイク、ウォークマン、公園通り……、当時の風俗をめいっぱい取り込んだ青春小説の傑作。
のちにシブがき隊主演で映画化された。表紙写真でお姉さんが肩からかけているのは、初代ウォークマン。
(「ヘッドフォン・ララバイ」「瞳とじればリンデングリーン」収録。2編とも書き下ろし)
UP
02.「ミッドサマー・ウェザー」(集英社コバルト文庫)
1982年5月15日発行
「ヘッドフォン・ララバイ」の続編。
黎は高校三年の夏休みだというのに家族のいる札幌へ。前編では登場しなかった黎の兄で人類学者の真理も登場。札幌で知り合った唯ちゃんや有沙も登場。中学の同窓会などもからめつつ、生き生きとした高校生活が活写される。
磯子のリゾートホテルでエンディング。
表紙は渋谷のスペイン坂で撮影されたもの。今とはまったく風景が違う。お姉さんが肩にかけているヘッドフォンはウォークマン2にデフォルトで付いていたもの。
(「ミッドサマー・ウェザー」(書き下ろし)
「晩夏風」(「小説ジュニア」1979年8月号掲載のデビュー作)
「秋めいて、ときめいて。」(「小説ジュニア」1981年10月号掲載)収録。)
UP
03.「ツインハート・アベニュー」(集英社コバルト文庫)
1983年7月15日発行
「ミッドサマー・ウェザー」の続編。
高三の秋が舞台。黎が同級生の智美からのラブレターをもらう。下宿にまで押し掛ける猛烈アタックの智美にまんざらでもない黎(なんせ、スポブラゆさゆさ)。話を聞いた有沙やら、智美のことが好きな男も乱入してきてのお話。
ありそうでありそうなストーリーに高校生だった僕はうらやましく思ったものだ。このシリーズは同級生との話がメインだが、兄の知り合いなどで年上の人たちが頻繁に出てくる。このあたりも背伸びしたい年頃の心をつかんだ要素だろう。
(「ツインハート・アベニュー」(書き下ろし)
「ノヴェンバア・ステップ」(「コバルト秋号」1982年掲載)
「南青山DAYS」(「プレイボーイアイズ」1982年10月号掲載)収録)
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04.「ハーフミラー・エイジ」(集英社コバルト文庫)
1985年8月15日発行
高校三年10月が舞台。中学時代の同窓会。有沙ももちろん出席だけど、森とピアノセッションはじめて、ちょっとおかんむりの黎は美由紀と二人でとんずらしてしまう。でも、美由紀はすでに結婚していたのだった……。8ミリ映画を撮ったり、そのときにスカウトした女性もまじえてのセーシュン模様。
残念ながら有沙と黎のシリーズはこの話のあと書かれていなくて、最初から読んでいたファンとしてはぜひ完結編を望むところなのです。
(「ハーフミラー・エイジ」(書き下ろし)収録)

以上が、「ヘッドフォンララバイ」シリーズ。有沙&黎のヤツね。
UP
05.「ファースト・スノウ・キッス」(集英社コバルト文庫)
1982年11月15日発行
唯一の短編集。
「ファースト・スノウ・キッス」でのヒロコとのベッドでのシーンが鮮烈。「スウィート・リトル・フォーティーン」では冒頭で恋人のるりの死が伝えられ、かなりショック。この作品は涙なしには読めない。窪田作品にはほとんど人の死が登場しない。
この本のお話は札幌が舞台になっているものが多く、窪田僚のルーツをかいま見ることができる。
(「ファースト・スノウ・キッス」(「小説ジュニア」1979年11月増刊号掲載)
「最後の雪のとける日に」(不明)
「スウィート・リトル・フォーティーン」(不明)
「ライラック館で会うならば」(不明)
「風の影はセルリアンブルー」(「ビックリハウス」連載)
「雪の翼はミルクセーキ・ホワイト」(不明)
「あしたもサルビア気分」(不明)
「グッバイ・スプリング・プリンセス」(不明)収録)
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06.「マイディアスイート」(集英社コバルト文庫)
1983年1月15日発行

(「マイディアスイート」「アーリーモーニング」収録)
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07.「東京ラプソディ」(集英社コバルト文庫)
1984年10月15日発行

(「夢で逢おうね」「東京ラプソディ」収録)

以上は独立編。
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08.「あのコとスペクタクル」(集英社コバルト文庫)
1986年5月15日発行

(「ハレー彗星の日」と「森へ行きましょう」収録)
UP
09.「あのコとスリリング」(集英社コバルト文庫)
1987年3月15日発行

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10.「あのコとサスペンス」(集英社コバルト文庫)
1988年2月15日発行


以上がいわゆる「超能力シリーズ」。
UP
11.「北都プリンセス」(集英社コバルト文庫)
1988年9月10日発行

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12.「夢降り、バレンタイン」(集英社コバルト文庫)
1989年2月10日発行


イラストが思い切り少女小説ぽくなったシリーズ。
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13.「放課後、アイスティ」(角川文庫)
1986年8月25日発行

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14.「真夏日、ウィンディ」(角川文庫)
1988年3月25日発行

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15.「キラー通りで、青春小説」(角川文庫)
1988年10月1日発行

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16.「大人になりたい」(角川文庫)
1989年7月1日発行