午後8時に渋谷のいつもの場所で待ち合わせ。

8時半に予約を入れてくれたのは、
Chinoisという、創作フレンチのお店でした。店内は、シックな内装に吹き抜けが心地よく、渋谷という場所には似合わない大人のお客様ばかりでした。お芝居やコンサートの帰りに立ち寄る方々も多いと聞いていた通り、お隣のテーブルの年配の女性たちは美術談義に花を咲かせていらっしゃいました。
静かにオペラが流れる中、彼に続いてちょっと緊張してメニューをチョイス。ワインは彼が、2人が白を好むことと予算を伝えてセレクトしてもらっていました。いつもより辛口のすっきりとした飲み口のワイン・・・香りがとっても良かったです。ふたりであっというまに1本開けてしまいました。
前菜を食べ終えて暫くたったころ、彼が鞄の中から水色の紙袋を取り出してわたしに渡しました。入店したときの
「お荷物、お預かりいたしましょうか?」
に
「いえ、僕は結構です」
と答えていたのは、このためだったんですね。あまりにも不意で、嬉しくって驚きながら
「ありがとうございます^^開けていい?」
とテーブルに三つ指をついて御礼を言いました。たぶん、そのときのわたしはカッコ悪いくらいに笑顔だった気がします。

そして中から現れたのは、
この指輪。ブルーのサファィアが埋め込まれたシンプルな指輪です。赤いルビーよりも、この石を選んでくれたことが、なぜかとても嬉しかったです。ニコニコしながら指にはめたところで、ふとメインのプレートを両手に持ったお店の方がわたしのその様子を見守ってテーブルの脇で待っていてくれたのにようやく気がつきました。
「あ・・・ごめんなさい・・・」
あわててテーブルの上の包みを膝の上の白いナプキンに移すと
「素敵な指輪ですね^^」
と微笑んでからお料理をサーブしてくれたので、一拍置いて
「はい^^」
とうなづいたものの、あとになって思うとここは
「ありがとうございます」
と言うべきだったんでしょうね。でもそのときは、わたしもほんとにそう思ったんです。
そんな2時間近いお誕生日ディナーの様子を、ずっと笑顔で見守っていてくださったお店の方々に、とても感謝。
そして何よりもいつか話した、
「もう本当に愛してくれる人の指輪以外はいらないの」と
それまでつけていた全ての指輪を外した、わたしの指輪に対するこだわりを覚えていてくれて、この日に用意してくれた彼に最上級の感謝。
今まで一番嬉しいお誕生日は、ハタチになったときでした。それは30人近いお友達がそれぞれ大小の花束を持って駆けつけてくれて、いきつけのクラブのお客様たちまでがお祝いしてくれた夜だったんですが、とうとうそれを超えるお誕生日ができてしまいました。
そしてこの夜は、渋谷でお泊り。
-*- わたしの為の覚書 -*-
◆彼のメニュー
・和歌山県紀ノ川産鮎の吉野葛粉揚げ
Fried Ayu (regional river fish)
・前沢牛の網焼き ワサビソース
Grilled Japanese beef with Wasabi sauce
・栃木産大平町巨峰のタルト ヨーグルトソルベ添え
Kyoho-grape tart served with yoghurt sorbet
◆私のメニュー
・ソフトシェルクラブのスパイシー唐揚げ
アボカド オクラ 胡瓜 サフランライスのサラダ添え
Deep-fried spiced soft-shell crab with safran rice salad
・岩手県産プラチナポークのソテー
レモン風味のスウィートチリソース
Sauteed regional pork with lemon-sweetchili sauce
・ココナッツのブランマンジェ
タピオカ レンズ豆入りココナッツスープ
Blanc-manger (coconut milk jelly)
◆ふたりで・・・
・フランス産チーズとドライフルーツの盛り合わせ
Assorted French cheeses and dried fruit
◆ワイン
・2002 Schubert Wines, Sauvignon Blanc
(シューベルト・ワインズ・ソーヴィニヨン・ブラン)
Hawks Bay
◇Elsa Peretti band ring. Sapphire, sterling silver.
エルサ・ペレッティ
フィレンツェ(イタリア)生まれ。
語学教師・スキーインストラクター・モデルなどを経て
ティファニーのデザイナーに就任し、「オープンハート」
「ダイヤモンド・バイ・ザ・ヤード」などのシリーズが有名。
1997年、アクセサリー賞を受賞。