穴。
2004/08/24 Tue 00:00
momoca funahashi
彼が穴に落ちてしまったとき、わたしはなす術もなく、ただ黙っているしかない。
昨日、彼が帰ってきてから「ちょっと落ちてるから寝るまでそっとしておいてね」そう言ったので、わたしはどうしていいかわからず、とりあえずどう対応するべきか考えようと静かに今はもう荷物置き場と化した部屋に入りました。
人は意味もなく落ち込んだ気持ちになるときがあるものだし、実際わたし自身もどうしょうもない焦燥感にただ時間が過ぎるのを待つときが度々あります。彼自身も例外ではなく、以前にも年に1〜2度はそんなことがあると知っていのだけれど、一緒に暮らし始めてのこの5ヶ月では初めてのことだったので、余計慎重に彼に接しようと思ったのでした。
深呼吸。
「少しだけ、そっとしておいて」
「わたしのせい?」
「いや、そうでてはないと思うよ。心配させてごめんね」
その言葉だけ信じていたらいい・・・そう自分に言い聞かせ、いつものようにお酒をちびちびしながらゲームをしたり。たまに部屋に戻って、オフラインでデキストを打ってみたり。静かに過ごしてみました。途中で彼が、わたしの傍らにきてそっと優しいキスをしてくれました。不安がっているわたしを感じて、いまの彼に出来る精一杯のキス。嬉しくって涙がこぼれます。彼の唇は、冷たいビールのせいでいつもよりずっとずっと冷たく感じたけれど、心の中がとても暖かくなりました。
「ごめんね。今夜はまだ食べられそうもないんだ」
そう言って、数日前からのリクエストに応えて作ったカレーを食べずにビールを飲んでいた彼ですが、眠る前に
「いつもより少なめに貰えるかな?」
と食べてくれたのがとても嬉しく、わたしは今日のカレーはいつもよりさらに工夫をしたことや、そのためにプラスした調味料などをペラペラとおしゃべりし始めました。けれど、それにニコニコと頷きながら返事をしてくれる彼は、やっぱり一番底の部分でいつもよりどこか沈んでいる気がしてたまりませんでした。
眠るときになって、彼の脇に潜り込もうか、それとも少し離れて寝ようか戸惑っていると「こっちにおいで」そう言って、わたしを引き寄せた彼は、まるで壊れやすいガラス細工を扱うようにわたしに言葉をかけ抱いてくれました。
[9] >>
comments (0)
trackbacks (0)
<< 江ノ島@7回目。
過ぎていく夏。 >>
[0] [top]