幼女時代。そして。

2004/04/09 Fri 00:00
momoca funahashi


上手く甘えることが出来ない。



ベッドの中でなら、自分のして欲しいこと、したいと思っていることを素直に、時に貪欲に伝えられるのに。



日常生活になると、その匙加減がわからなくなってしまう。「〜してあげようか?」そうと問われたときでさえすぐには「お願いします」と言えなかったり、逆に甘えすぎてしまったり。







子供の頃、父が大好きだった。この感性の主だった部分は父から受けたものだと思う。職場ではアウトローなところがあり頑固な父は、その青春時代の破天荒ぶりとは裏腹に、24歳で私が産まれてからはとてもとても子煩悩な人でした。



ただあまりにも躾に厳しく、親類の集まる席でその様子を見た祖母や叔母達から「そんなに厳しすぎるからモモカはいつも怯えた目をしているじゃないの」「まだこんな小さな子供なのに、大人に甘えたり我侭言うこともなくじっとしているのは少しもいいことじゃないのよ」そう問い詰められることもしばしあったと、ちょっと大人になってから母が教えてくれた。



本当は、全身全霊で甘えたかった。我侭だって言いたかった。でもぶたれるのが怖かった。





中学に上がったとき、父親に呼びつけられ「俺がおまえに教えてやれることは6年生までに全て教えた。あとは自分で成長するんだ。だからもう殴ることもしない。」そう告げられた。それまで、何か間違ったことや、うっかり生意気な口を聞くといつも「ここへ来い!」そう怒鳴られ、お尻を思い切り叩かれた。どんなに泣き叫んでも無駄だったし、弁解することすらできなかったからいつしか、自分が間違っていないときは絶対に泣くまいと決めて歯を食いしばって我慢していた。



「こうして叩くとき、おまえだけが痛いんじゃないぞ。お父さんの心も痛いんだぞ」



いつもそう言いながら、翌日椅子に腰掛けることもままならない程に、叩かれた。『女の子だから』という理由で、顔や頭だけは殴られたことがなかった。



父に殴られるという恐怖から開放されたと同時に、わたしはいつも不安な気持ちが心の隅に巣食うようになる。「ほんとうははらわたが煮え繰り返るほどに、とても怒っているんじゃないだろうか」「こんなことをしたらまた殴られるんじゃないだろうか」


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