デモについてあれこれ
2010.10.20 Wednesday 15:13
kazuto funahashi
中国の「反日」デモが実は、自国体制や自分の身の置き所のなさから来る不満が噴出したものだということはマスコミも伝える通り。
それに、中国人全員が同意しているわけでもないし、日本に滞在している中国人はほとんど「そういう自国から逃げてきている」、半分亡命者のような人たちであるということも頭に入れておかないといけない。
歴史的にいえば、今の中国は日本の40年前に似ていると思う。
オリンピックのあとに万博を開催したあのころ。
1969年には日本で空前規模のデモが毎日のように発生していた。
いわゆる、「60年安保」だ。
国会を12万人が取り囲み、突入までした最大級の政治デモだった。
あのとき、日本人は口々に「反米」を唱えていた。
でも、そんなことを心から唱えていたのは一部の左翼だけだろう。ノリや熱狂で加わっていた人も多数いた。
そして、日本の「政治の季節」は、経済が向上していくと、その不満が薄れ、消えて行った。「国民総中流」と呼ばれるように中間所得者の増大し、彼らが野党の伸びを止めたため、「与野党伯仲」とはなったが「政権交代」とはならなかった。あのときもしも政権が代わり、社会党が政権を担ったらどんなことになっていたか恐ろしいものだけど。
しかし、それでもあのときの日本と今の中国では違うこともたくさんある。
日本は思想信条の自由が一応は守られているし、民主主義を基本に多党制が認められている。教育内容も極端なナショナリズムには毒されていない。
しかし、中国は「共産党一党独裁」であり、憲法上で規定されている思想信条の自由がないことは、1989年の天安門事件や、先日のノーベル平和賞の件を見てもわかるとおり。
共産党への信頼をつなぎとめるため、これまでは社会主義というイデオロギーを使っていたけれど、「社会主義市場経済」という摩訶不思議な、政治的には社会主義だが、経済は資本主義という奇妙なキメラ体制になると、「社会主義」は使えなくなってしまった。そこで出てきたのが、帝国主義を打倒し、現在の中国を建国した共産党万歳、という愛国思想だ。この思想は当然、「反日」という裏の顔がどうしても出てくる。
そのために、天安門事件以降に生まれ育った連中はこの「愛国教育」を受けたせいで、現在20歳くらいのこの層がデモを引き起こすに至っている。
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