ワシントン条約。
2010.03.18 Thursday 21:04
kazuto funahashi
地中海や大西洋でクロマグロを禁漁にする話し合いがドーハで行われています。
科学的根拠はあまりなく、そもそも日常的食品のマグロを、絶滅危惧種の保護のために作られたワシントン条約を使って保護しようというのは、なんか筋違いです。
この「ワシントン条約」には嫌な思い出があります。
正式名称は「絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約」。
ワシントンで採択されたので通称「ワシントン条約」と言ってます。この条約では生きている個体はもちろん、その死体や剥製、体の一部も対象になります。
日本がこの条約を批准したため、あるモノが輸入禁止となってしまいました。
それは象牙です。象の牙。長い鼻の根元から生えてるヤツ。
象牙は古来からアクセサリーや印鑑の材料として使われてきました。
印鑑の材料としては最高級品になります。
そして、私の父はこの象牙を加工する仕事をしていました。
おそらく、このような仕事をしているのは日本国内全部あわせても5000人に届かないでしょう。タバコに関係する人や捕鯨に関係する人たちよりもはるかに少ない。印鑑文化である日本ではハンコは必需品だけれど、象牙が必需品というわけでもないから、国内で批准に反対する人もいない。
そんなわけで現在、国内に流通している象牙は、条約締結前に輸入された在庫を使っています。父が唯一海外に渡航したのは、この象牙確保のためでした。
父は宝石や装飾品、象牙を扱う店が、自社で販売するための印鑑を製造する工場に勤めていました。景気のいい時期もありましたが、新聞報道などでこの条約批准の話が出て、象牙の印鑑を購入する人が激減し、このお店は自社の製造部門を無くすことにしてしまったのです。つまり部門消滅、解雇です。
職安に行って仕事を探している時期は、子供心に心配が募っていました。幸い、退職金はある程度出ていたようなので、生活が急激に悪くなったという記憶はなかったですが。
後で聞いた話では、父の勤めていた工場では、加工した印材を自社以外の店にも卸していたため、製造が止まったしまった取引関係の店は困ってしまったそうです。
そこで、それらの取引関係の会社や店から出資を受け、銀行から金を借り、それまで勤めていた会社から格安で使っていた機材と原材料を譲り受け、働いていた仲間たちで会社を立ち上げました。そのおかげで私と弟は大学を出ることができたのでした。
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